フィードバックの正しいやり方

フィードバック

優秀なマネージャーはフィードバックが上手です。

フィードバックは部下の育成方法として最も重要であり、マネジメントにおいて必要不可欠な要素です。

フィードバックって何?

フィードバックの『フィード』は、“food”を語源とする『feed』であり、食べ物、つまり栄養を意味します。

つまり、フィードバックを与えた者の成長を促進することが基本です。

日本で当たり前になっているフィードバックは「評価の伝達場面」のことを指しますが、それはフィードバックに値しません。成長させられる助言ができた場か否か、それがフィードバックの重要な要素です。

フィードバック面談を取り入れよう

部下の成長を促す手っ取り早い方法がフィードバック面談です。マネジメントの一環として、フィードバック面談は必ず取り入れましょう。

フィードバック面談のやり方

1.面談前の情報収集

フィードバックのみならず、面談を行う場合は必ず事前に相手の情報を入手しておきましょう。

「どんな状況のときに」「相手のどんな行動が」「どのような影響・結果を導いたのか」の3つを把握しておくことが大切です。

また、部下の良からぬ噂を聞いた場合は、鵜呑みにしてはいけません。必ず複数人から話を聞いて、事実を確認するべきです。

2.事実を伝える

相手が辛くなるような事実にも目をそむけず、事実ベースで相手に伝えていきます。

まず、フィードバック面談であるという目的を話し、面談のゴールを共有。

そして問題になるような行動や課題に焦点を当てていき、深掘りしていきます。褒めるのでもディスるのでもなく、ただ事実を伝えていきます。

3.問題行動や課題の合意

対話しながら、問題行動や課題をお互いに認識しましょう。相手は言い訳をしてくる可能性も十分にありますが、結果に向かって行った「行動の事実」を話しているのであれば、正義はあなたにあります。

回りくどい表現は避け、事実をトコトンぶつける事で、肚落ちさせていきましょう。

4.未来の行動策定

お互いに問題を認識したのであれば、次回面談までの行動を策定します。相手のレベルが低いようであれば上司が行動を考え、相手のレベルが高ければ一緒に行動を考えます。

ここを本気になれるかどうかで、部下の成長具合が変わってくるため、生半可なキメをしないようにしましょう。

5.フォローアップ

面談で決めたことに対して、相手が動けているか、軸ブレしていないかを定点チェックします。

そもそも一回の面談で、相手が完全超人になることはありえません。何度も何度も軌道修正を行い、成長を促す必要があります。

フィードバックの要点

1.腹をくくれ

事実をベースに対話するフィードバック面談は、過度の緊張状態に陥りがちです。また、相手が全面的に受け入れてくれる保証はなく、敵意をもたれることすらあります。

しかしながら逃げてはいけません。大切なのことは上司が好かれることではなく、部下が成長することです。ひたすら相手に向き合いましょう。

2.フィードバックは直上職が伝えるべし

上司は、常日頃の活動のなかで、部下の仕事や生活をよく観ているはず(べき)なので、部下の長所・短所・動機・苦手・方向性などを理解しています。

従って、単なる通知ではなく、仕事の課題や今後の成長につながるアドバイスを与えれる確率が最も高いのは上司です。

3.信頼と安心を普段から醸成する

正直なフィードバックを与えることを前提として、それを素直に受け止めてもらえるために普段から信頼関係を醸成していくことが大切です。

個々人の人となりを、お互いに認識できるようにしておきましょう。そうしないと、相手からの率直な質問や怒りの感情を受け止めることもできず、一方的な押し付けで終わってしまうので、成長の肥やしになりません。

4.ポジティブとネガティブどちらも伝える練習が必要

適切なフィードバックであるならば、必ず良い点と悪い点、両面の伝えるべきことがあるはずです。

ポジティブな情報は相手を成長させる可能性は高いですが、相手の心に響かない現象がおこりがちです。「ご機嫌取り」に思われるような発言は慎みましょう。

5.能力や成果はもちろんプロセスや努力をたたえる

何かにチャレンジしたり努力することを称えれば、チャレンジや努力に対して前向きになれます。

具体的な行動を賞賛すれば、具体的な行動を持続的にとるスタイルを身につけてくれます。

参考になるのが子供の褒め方3つのポイントです。プロセスを評価しなければ、安易な道を選ぶようになり、リスクを避けようと思考するようになります。

6.性格や私的行動ではなく業務中の評価を行うこと

メンバーにフィードバックを与える場合、観察できる行動に焦点を絞ることが重要です。

私生活に対しては、助言進言をしないようにしましょう。

7.フィードバックは日常から伝える

フィードバックは日常から行われるべき行為です。冒頭に示したようにフィードバックは成長を促す肥料になります。部下が成長して困るのはダメな上司くらいなはずです。

フィードバックを大それたものとして捉えてしまうと、特別な面談時には非日常な空気が流れますが、翌日にはいつもの職場空間に引き戻されます。

機会を待つ必要はありません。1つの大きな城を築くより、1000のテントを張り巡らすことが成長を促進します。

8.上職は人間的にも能力的にも常に模範的でいる

最も向き合わないといけないのが、上司の成長です。フィードバックをした本人が、人に指摘したことをできないようでは話になりません。

部下は、『上職の行動』についてきます。効果的なフィードバックを心がけるのであれば絶ゆまぬ努力を継続しましょう。

9.PDCAチェック

目標に対して部下が動けているか、1対1で振り返りを行いましょう。

もし目標に対して正しい過程を過ごせていないのであれば、常に改善指示を一緒に考えることで、人事評価する際の不満を低下させることが出来ます。

フィードバック上達の秘訣

フィードバックが上手になる方法は2つしかありません。まず場数を踏むこと。そしてフィードバックを観察することです。

誰かのフィードバック面談に同席したり、自分自身でフィードバック面談を受ける事でスキルアップしていきます。

優等生へのフィードバックについて

コンフォートゾーンとラーニングゾーン

優秀な人材と面談を行うと、何一つ問題が見当らず、世間話で場を終えてしまいがちですが、それはゾーンの見極めが出来ていないからかも知れません。

優秀な人材であればあるほど、ラーニングゾーンにおけているか否かをチェックする必要があります。ラーニングゾーンとは、何かにぶつかっている状況であり、ストレスがかかる状態です。反対に、コンフォートゾーンとは、不安になることがない行動範囲を指します。

成長ができる適正領域はコンフォートゾーンには存在しません。粗が見つからない場合は、相手をより成長できるゾーンに導くことも面談では必要です。

コンフォートゾーンとラーニングゾーンについて

フィードバック上手な人の資質

「増大理論」をもつか否かで見極められる

人の知能レベルの発達について、大きく2つの学説があり「固定理論」と「増大理論」とよばれています。

固定理論は「個人の能力は生まれつき決まっている」っているという理論、増大理論は「人の能力は可変である」という考え方です。

フィードバックを行う人材が「増大理論」側であるほうが、成長を支援している部下の成長がはやい傾向があります。さらに、増大理論が受け継がれていくため、組織の成長スパイラルがはやくなると言われています。

資質は不要

増大理論を持つにこしたことはありませんが、固定理論者がフィードバックにむかないわけではありません。

「成長を促進する」ことがフィードバックの基本であり、前提だということを理解→意識→会話できているのであれば十分です。成長させるための発言が出来るか否か、それが大切です。

The following two tabs change content below.
d-hanai

d-hanai

関連記事

主体性をもつ部下の育て方

主体性をもつ部下の育て方

自発的な行動や、主体性を持たない部下や後輩に、ジレンマを抱えているマネ-ジャーは非常に多いです。チームメンバーの主体性を引き上げるためのコ…