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上司不在のティール組織!要約まとめ

      2019/02/07

ティール組織

ティール組織は、2018年もっともマネジメント分野を騒がせた書籍であり、そのなかで提唱されている「次世代型組織」のことを指します。

著書「ティール組織」は、ビジネス書マネジメント部門で圧倒的な売上記録をたたき出し、他を大きく引き離して1位を獲得しています。

改めて、ティール組織とは何か、どんな意味を持つのかを解説します。

ティール組織とは

ティール組織を要約すると、「上司や機能などの切り分けを限りなくゼロにした、目的に向かって自走するチーム」です。

ティール組織(進化型組織、次世代型組織)を一言でいうのは非常に難しいですが、3つの特徴をもち、それらが機能すると組織が大きく変わると言われています。

3つの特徴とは、『組織の存在目的(価値観)』『自主経営(セルフマネジメント)』、『全体性(ホールネス)』のことです。

ティール組織3つのキーワード

  1. 1.自主経営(セルフマネジメント)
  2. 2.全体性(ホールネス)
  3. 3.進化・変化する目的共有(価値観連動)

3つの特徴を抑えることで、ティール組織の性質をもった強いチームになります。

1.自主経営(セルフマネジメント)

ティール組織で最も注目すべきは「自主経営」という特徴です。組織構造をフラットにして、上司部下の関係を排除し、一人ひとり主体性をもって経営に関わることを自主経営とします。

メンバー同士が自分の定められた役割や機能に従うこと、上司から与えられたものに従属的に取り組むことを良しとしない組織構造です。

機能に縛られることがない

ティール組織では、この仕事は誰の仕事!と、明確に線引きは行いません。

例えばバリバリのトップエンジニアが営業の企画会議に参加し、マーケティング戦略を考え、採用や研修について助言を行うといった役割を横断して様々なチームに所属するのがティール組織です。

人事、企画、事務、採用、営業、マネジメントなどを機能別に分けるのではなく、チームもしくは個人(最小単位のチームは個人)にすべてを任せます。

上司や組織階層を無視できる

基本的な組織は、トップダウン型の指令系統またはボトムアップ型の合意形成によってマネジメントが行われています。

しかし、ティール型の組織では、メンバーが連携しながら組織の目的にあわせて自主的に意思決定をします。企業は、メンバーが所属する各チームに権限を委譲し、サポートを行うことが基本になります。

「最終的には、上司のコンセンサス(合意)が必要なのでは?」という問いには真向からNO。ティール組織はコンセンサスは不要であり、あくまでも周囲の助言を活かし、そのなかで目標に適合しているものが取捨選択されていくだけです。

助言プロセスこそが自主経営の要

ティール組織には誰にでも発言権と決定権があり、上司や組織階層・権力の介入をされることなく、メンバーから自主的に編成された自治組織が課題に取り組みます。

とはいえ、ただしい意思決定が自主性という熱意だけでは道を踏み外すことがあるため、メンバーには「助言プロセスを踏む」という義務があり、実行者が最適な人にかならず助言を聞きにいかなければいけません。

助言は誰にでも聴くことが可能であり、多くの人材と交流しつつ、より最適な方法を見つけられたり、より多くの本来関係すべきメンバーとのつながりが出来ていきます。

意思決定機会増加と共同体感覚

自主経営はリーダーシップを育む重要なプロセスを自然に取り入れていて、そのうちの一つが「意思決定機会」の増加です。

リーダーシップを育む手っ取り早い方法は、自分自身で意思決定を何度行ったかの回数を増やすことですが、自主経営はその機会を爆発的に増やせます。

また、チームで一緒の方向を向きながら活動できるため、アドラーでいうところの「共同体感覚」を持ちやすく、職場に対しての信頼度が高くなっていきます。

全員平等ではなく得意の発見

ティール組織で重要なことは、職位やパワーを排除することでもなければ、皆を平等にすることでもありません。

それぞれが目的に向かい、自分の領域の中で最も力強く働ける領域を見つけやすくすることが大切です。上から与えられた役割以外を数多く経験することで、長所とマッチングした役割に出会わせることがティール組織では可能です。

2.全体性(ホールネス)

ホールネスとは、「個人としての全体性の発揮」のことですが、「不安やメンバーの関係性に組織が寄り添う」ことを指します。

ありのままの自分を職場にさらけ出すことで、潜在的な能力を解放させ、パワーを引き出すことを可能にします。

個人を会社に持っていく

「達成型組織」は、業績に直結する部分のみ、メンバーを見ていきます。「ティール組織」は、職場の心理的安全性を高めに、他人に対してありのままの自分を見せても、傷つかず受け止められるような環境作りを行います。

人の背景や興味関心、好きなことなどの私事を共有しあうことで相互理解し、ありのままの自分を発揮するためのルールや仕組みを導入し続けます。

職場の文化と習慣は、仕事以外の部分を見たほうがわかりやすく、ホールネスを発揮できてるか確認する際は本業務以外での関わりを観察しましょう。例えば研修を社内でひらき、従業員を講師にすることで会社の習慣などを確認できます。

心理的安全性は生産性に直結する

心理的安全性(サイコロジカル セーフティ/psychological safety)は、実はビジネスで重要なキーワードです。心理的安全性は、他者の反応に怯えたり羞恥心を感じることなく、自然体の自分をさらけ出すことが出来る環境や雰囲気のことを指します。

ビジネスシーンにおいて本来の自分と異なるような人格にすることなく、全てのメンバーが普段通りのリラックスした状態で活動出来る配慮をティール組織は大切にしています。

実際に、グーグル社が2012年から約4年もの年月をかけて実施したプロジェクト『プロジェクトアリストテレス(Project Aristotle)』により、「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要」と発表しています。

ストーリーテリングと最高のマネジャー

ポジティブな協力関係を築くには、仕事だけではなく、個々人の物語の共有が欠かせません。

メンバー同士深くつながるには、自分の物語を話しあうことが重要です。信頼を築く最も簡単な方法は、互いをもっと知ることです。他人の人生を知るほどにその人を嫌いになったり、疑う可能性は小さくなっていきます。

できるマネジャーは、自分のストーリーを曝け出し、メンバーの様々なストーリーも把握しています。更にできるマネージャーは、チームに様々な人物のストーリーを共有し、仕事以外での強固な絆を自然に作っていきます。

3.進化・変化する目的の共有(価値観)

ティール組織は何よりも「目的」中心に動きます。目的中心に生きることは、チームだけでなく個人のパフォーマンスにも大きな力を与えます。

存在目的を重視する

目標数字を達成するためにメンバーを動かす組織構造を「達成型組織」とすると、「ティール組織」は自社がどんな役割を果たすために存在しているのか?という存在目的を重要視します。

常にメンバーに「その存在目的に対して動けたか?」を問い、彼らを奮い立たせたり、信頼しあうポイントにします。

存在目的に耳を傾けた意思決定

ティール組織は、それ自体をひとつの生命体としてとらえます。一人ひとりが細胞として勝手に相互機能するイメージです。

意思決定も同時多発的にメンバーの中で決められ、その中心にあるのは『目的』であり、目的中心に動くことで方向感覚が全員に備わっていきます。

バリューMTGの必要性

変わり続ける存在目的や組織の価値観を共有するために、相互理解する場面を創出する必要があります。3か月もしくは半年ごとにバリューMTGを設け、「この組織はどこに向かっているのか」を話し合いましょう。

組織の目的や価値観は、言ったそばから浸透してくことは100%ありえないため、バリューMTGや普段の会話を通して常に目的を共有することが大切です。

メンバーは言いつかれたころに聞く体制になってきます。彼らが目的を語れるようになるまで共有し続けましょう。

ティールはなぜ注目されたのか

ティール組織が経営者に注目されたのは「組織にも進化形態がある」という、新しい学術的な要素に引かれたからです。

そもそも組織がどのように姿を変えてきたのか、どのような生態系だったのかを確認することで、ティール組織の可能性を感じることが出来ます。

組織の進化の流れ

  1. (1)動物型組織
  2. (2)軍隊型組織
  3. (3)機能型組織
  4. (4)家族型組織
  5. (5)次世代型組織=ティール組織

(1)動物型組織

力ですべてを支配する組織。強いやつが偉い。

(2)軍隊型組織

力をもったリーダーがルールをつくった組織。上司の指揮命令が絶対であり、規律を重んじます。

(3)機能型組織

軍隊型組織に、明確に役割分担及びKPI設定を行った組織。軍隊組織はトップの理不尽がまかり通りますが、機能型組織では役割や数字が明確な分、合理性において軍隊組織よりも強い組織です。

(4)家族型組織

「経済は感情で動いている、人も感情で動いている」というわけでモチベーションをも管理対象に加えた組織です。共感や気持ちの揺らぎに反応することで、一人ひとりにあったマネジメントを模索できます。

(5)次世代型組織

著書「ティール組織」では、家族型組織が進化した形が次世代型組織(ティール型組織)だとしています。家族型組織からヒエラルキーを排除し、メンバーの主体性発揮に振り切って取り組むことで最も生産性の高い組織にすることができるというイノベーティブな発想の組織です。

ティール組織の成功事例

ラルーは著書において、「ティール組織を実現している真に先進的な企業はほとんどいない」と言及しています。つまり、そんな組織成功事例は海外にも日本にもありません。無茶苦茶です。成功事例ないのかよ。

ティール組織という本は、「そういう」組織を数多調べることで共通事項を抽出し、それが「自主経営」「全体性」「存在目的」だったとしています。

この共通事項と照らし合わせると、海外ではザッポス、国内では星野リゾートやほぼ日社などがティール組織に一部該当し、実際に結果を残していることもわかります。

マネージャーは不要か否か

ティール組織は、「上司不要で現場が主体性発揮」「権限移譲したほうが意思決定が早くなる」という耳障りの良いことが書いてありますが、簡単に成果につながる話でもありません。

このことはグーグル社の『Project Oxygen(プロジェクト・オキシジェン)』の結果を見たほうがわかりやすいでしょう。

グーグルが行った大規模実験プロジェクト

Googleは、現場のエンジニアたちにとっての上司である、マネジャー職を一時的になくしたことがあります。

創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、起業するまで会社組織に属したことがなく、自分たちの会社を出身校のスタンフォード大学のような自由闊達な雰囲気にしたいと考えました。

そこで考えたのは「上司」の存在。「管理する存在」は邪魔なだけなのではないかと考え、実際にマネージャー職を一部組織で排除しました。

結局マネージャは必要だった

しかしGoogleは、2009年に実施した2年間にもわたるプロジェクト「Project Oxygen(プロジェクト・オキシジェン)」と呼ばれる大規模調査をおえ、マネジャー職を復活させました。

1万人以上の社員が参加した調査結果を解析し、間違いなく上司がいたほうが生産性が高いと結論づけました。

しかし、「じゃあ上司がいたほうが良いね!」で終わるのではなく、「こういうリーダーがいたほうが組織全体のパフォーマンスが高まる」像まで導き出しました。

理想の上司像

  1. 専門知識を持った良いコーチである
  2. チームを勢いづけ、マイクロマネジメントをしない
  3. 部下が健康で過ごし、成果を挙げることに関心を払う
  4. 生産的かつ成果主義である
  5. チームの良き聞き手であり、コミュニケーションを活発に取る
  6. 部下のキャリア形成を手助けする
  7. 明確なビジョンと戦略を持つ
  8. チームにアドバイスできる技術的な専門知識を持つ

Googleにおける最高の上司は、自分自身が直接的にパフォーマンスを発揮する人ではなく、部下が最大の成果を挙げるための環境構築ができる人、を指すようです。

そういう意味合いでは上司ではなく、アドバイザリーのような立場をつくることで、ティール組織のなかにもこのデータを活かすことが出来るのかもしれません。

ティール型を組織導入するには

まずは現在の組織課題を解決できる、もしくはマネジメンターが自己欲求として取り入れたいものを『セルフマネジメント(自主経営)』と『ホールネス(全体性)』、『組織の存在目的』から選んで、実施にむけて取り組んでみましょう。

「達成型組織」と「ティール組織」との対比は今後も長く語られそうですが、両方の良いところをとって、自社の現状のフェイズに合致しているものを選択することをおすすめします。

組織マネジメントに正解なんてない

上司がいる組織、いない組織、どっちが良いというのは結果論です。組織構造ばかり考えることに意味はありません。

ザッポスのように限りなく理想のティール組織として飛躍した会社もあれば、グーグルのようにデータでマネジャーの必要性を証明した企業もあります。

1社1社の正解はどこにも書いてないので、「マネージャーがどういった組織を持ちたいのか否か」そのエゴでマネジメントの形を決めるべきではないでしょうか。

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