スケールデメリットと排除方法

時間と規模成長

スケールメリットとスケールデメリット

スケールメリットとは、組織規模や販売体制を大きくすることによって得られる優位性を指し、規模の経済や規模の優位性ともいわれます。

売上の拡大は当然ですが、資本投下によるブランディングや人が増えることによって生まれる化学反応、既存事業からの脱却などはスケールメリットを活かすことで確立していきます。

スケールすることは小規模企業と差をつける行為である一方、弱点も抱えています。規模が大きくなることで必然と獲得してしまう弱点を、スケールデメリットと言います。

スケールデメリットとは

個々人の成長機会が失われる

規模拡大は、余裕ができたことによってスペシャリスト(専門家)が生まれやすくなりますが、ゼネラリストが減ってしまうデメリットをもちます。

社員数が増える事で分業が進み、1つのやることに対して関わる人数が増大していってしまいます。小規模時代には、一人ひとりがすべてのプロセスを完結していた動きが失われていくことになります。

「その仕事は専門部署に任せればいいや」「それはあの人の業務領域」という甘えの積み重ねが、「自分でやる」という意識を失わせ、新しい分野を学んだり経験することがないままになりがです。

人は憂鬱な仕事をやりとげたとき、新しい経験を積んだ時に大きく成長します。その機会は規模が小さいときは自然に生まれていて、規模が大きくなるにつれ無くなっていくものです。

スピードが遅くなる

規模が増えれば、仕事の速さや質が落ちていくことになります。とくに速さは実感しやすく、融通が利かなくなったり、たくさんの人の承認が必要になってきます。

お金もなければ生き残りの保障もなかった時代は、誰かがスピードに欠ければすぐに把握したはずです。スケールすることで余裕が生まれ、多少の減速は仕方ないと妥協し、いきすぎると速度自体見なくなっていきます。

成功にスピードが欠かせない要素であることは昔も今も変わりません。それなのに、スケールによって仕事のスピードが落ちていることに対応できないケースが多くあります。

意思疎通が滞る

スタートアップの強さは、意思の浸透にあります。トップの考えは直接メンバーにいきわたり、ビジョンに賛同しやすくなります。

組織がスケールしていくと、意思疎通は難しくなり伝言ゲームになりがちです。トップの意思は幹部に伝わらなくなり、幹部の言葉になりかわって組織全体に間違いが拡がっていく可能性すら秘めています。

「本音の対話なくして最高のチームなし」はサイバーエージェントのミッションステートメント(行動規範)にもあり、最高のチームというのは本音の対話が出来るチームです。最高を目指しにくくなるのもスケールする弊害です。

スケールデメリット排除のやり方

スケールデメリットを伝える

スケールデメリットを徹底排除する要点は、スケールデメリットを知ることです。デメリットを知らなければ動けないのは当然ですし、メンバーに主体的なスケールデメリットの対策を期待するのは無茶です。

トップが規模拡大の弱点を見定め、共有し、組織としてスケールデメリットにどう対峙していくかを伝え続ける必要があります。

スケールメリットを伝える

スケールデメリットに対峙するさいに気を付けたいのは、スケールしたことそのものは素晴らしいことだと認識することです。組織の拡大も販路の拡大も、やりたくてもできない会社のほうが圧倒的に多いのが事実です。

スケールの偉大さをデメリットと共に伝えなければ、スケールすることそのものに嫌疑が生まれるため、スケールの良点も考え共有していくことが大切です。

対話で解決していく

スケールデメリットは、役割や役職によって感じる部分が大小さまざまです。トップからデメリット排除の動きを促すのはもちろんですが、前提として本音の対話が必要です。

実現したいこと、それにむけて障害になっているスケールデメリットをあぶりだし、共に解決策を出していくことが大きくなった企業の成長の仕方です。

小規模体は、トップの旗一つで右へ左へ動き、進捗も追えました。スケールした企業では、トップがすべてを掌握することが難しいため、現場が自ら考え結果をおってもらえるような解決を考える事が大切です。

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